様々なハラスメント

介護現場のハラスメントの特徴として挙げられるのが、利用者から職員に対するセクハラやパワハラが多く見られるという点です。入居型の施設の場合は毎日同じ人と顔を合わせることになり、訪問介護サービスの場合は利用者と密室で2人きりになりやすいので、それぞれセクハラやパワハラが起こりやすい環境になってしまいます。また、利用者だけでなくその家族からのパワハラやモラハラの被害も数多く報告されています。

セクハラの被害としてはサービスを提供している際に不必要な接触を図られたり、身体に触れられたりするという直接的なものから、性的な言葉を発したり性的な冗談を言われるという精神的なものまで様々な形があります。パワハラに関しては大声で怒鳴るなど攻撃的な態度を取られたり、他の職員を引き合いに出して比較されたり、無茶な要求を強要されたりするケースが多いようです。利用者だけでなく、その家族からもパワハラを受けた経験がある人も多くいます。

こうしたハラスメントが横行してしまう原因の一つとして、介護サービスの利用者が普段の生活でストレスを溜めこみやすく、介護職員がそのはけ口なってしまいやすいという点があります。また、仕事としてサービスを提供している以上はできる限り要求に応えなければならないという介護施設側の姿勢が、結果的にハラスメントを助長してしまうことにもなります。こうした状況を改善するためには、介護業界の意識改革とハラスメント対策を行うと同時に、利用者のモラルの向上やストレスを溜めないための生活の質の向上も不可欠になってきます。